技術情報

食品工場における小箱包装・箱詰めライン 自動化のポイント

食品製造ラインにおいて、小箱包装・箱詰め工程は人手が多くかかる工程であり、省人化を実現し生産性を向上するためには、当工程の自動化が重要になります。自動化により生産性向上を実現できるとともに、人手を極力介さないことによる品質の向上も実現できます。

食品を小箱包装・箱詰めする工程

食品の小箱包装・箱詰めラインは以下のような工程からなります。

ワーク供給
食品の小箱包装・箱詰めラインでは、ワーク供給が必要です。ワークの供給については、前工程からの自動供給だけでなく、人手による手動供給もあります。これらは、自動化対象工程の範囲や、ライン設置スペースなどにより異なります。
ワーク供給については、整列やピッチ制御が必要な場合が多くあります。整列、ピッチ制御は食品の特性によって方法が異なり、自動機メーカーのノウハウが必要になる重要工程となってきます。

包装前検査
ワーク包装前に裸製品を検査する場合、多くは異物検査となるのでしょう。
脱酸素剤をワークと一緒に包装する場合や、アルミ箔で包装する場合には、金属検出器による検査感度が低下してしまうこともあり、包装前に異物検査します。
また、異物検査以外にもカメラを用いたサイズ検査・外観検査が行われることもあります。

計量・包装
計量・包装工程について、重量による袋詰めの場合は、組み合わせ計量機をはじめとした計量機と縦ピロー包装機を連動し、目標重量のワークを自動で包装します。前述した包装前検査については、計量後の自由落下の際に金属検出器による異物検査をする場合もあり、仕様は様々です。
個包装品については、横ピロー包装による自動包装がメインでしょう。ワークを整列させてピッチ制御し、ワーク自動供給後に横ピロー包装機にて包装します。また、カップ品やトレーの場合は、トップシーラーが用いられます。この場合は充填量制御を行いながら、ワークを充填します。

包装後検査
包装後には、異物検査、重量検査を行います。異物検査はX線異物検査装置や金属検出器を用いることが多いです。また、重量検査については重量チェッカーを用いて行います。
また、包装後検査として嚙み込み検査を行う例が増えています。ワークが包装フィルムやシールに噛み込むと、製品品質が悪化するため事前に検査を行います。この検査には、軟X線や可視光+カメラを用いて行います。
さらに、窒素を封入した製品などはリークチェッカーを用いて検査することもあります。
検査仕様はワークや企業様に応じて様々ですが、過剰品質になりやすい工程となり、最適な仕様にて導入することがコスト的に重要となります。

小箱包装
横ピロー商材をはじめとしたワークでは、小箱包装を行います。カートナー(カート二ングマシン)にて包装を行いますが、小箱にはIJP等にて印字し、印字検査も同工程にて行います。
その他、小箱包装の場合はワーク以外に添付文書などを封入することもあり、封入後はそれに応じた検査を行います。
縦ピロー包装機にて包装する製品の多くは、小箱包装工程を通らずに段ボール等による箱詰め工程へ搬送されます。

箱詰め
個包装品、もしくは小箱包装品は、輸送梱包のため箱詰めラインへ搬送されます。箱詰めは、言うまでもなく多くの場合は、段ボールが使用されます。ただし、段ボールによる箱詰め仕様は様々であり、ラップラウンドケーサー、オートケーサー、ロボットケーサーなど、最適な仕様が選定されます。
箱詰め装置を導入する際の注意点として、「ロボットの検討に限定しない」ことです。パラレルリンクロボットを搭載したケーサーなど、ロボットケーサーを各種メーカー、エンジニアリング会社が製造・販売していますが、ロボット以外の仕様にて導入することが最適な場合が多くあり、その場合、①導入コスト ②保守・メンテ性向上 を実現できる可能性があります。
箱詰め後は、段ボール印字・印字検査、ラベル張りが行われることが多いです。

・パレタイジング・出荷
箱詰め後、パレタイジングラインへ搬送され、パレット上で積まれます。その際、パレタイザーが使用されますが、産業用ロボットを用いたパレタイザー以外の、XYZ3軸の直行型や、柵が不要な協働ロボット搭載パレタイザーなど、最適な装置を選定します。
パレット搬送に関しても、自動化ラインで構成する場合だけでなく、スペース・コスト、生産能力に応じて、手動搬出も選択肢の一つとなります。

食品工場 小箱包装・箱詰めラインの導入のポイント

食品工場で小箱包装・箱詰めラインを導入する際の導入のポイントは以下です。

予算
小箱包装・箱詰めラインの導入において、最初に計画すべきは投資予算です。小箱包装・箱詰めラインは、億を超える大型投資になることもあり、企業としての事業戦略に基づきます。予算を定めたうえで小箱包装・箱詰めラインを導入しなければ、ライン構成を長期間かけて行っても白紙に戻ることが多く、予算設定が重要となります。

納期
小箱包装・箱詰めラインの導入において、予算の次に納期を定める必要があります。小箱包装・箱詰めラインを導入する場合、計画→納品→稼働に3年以上の期間がかかる場合もあり、納期ありきでメーカー選定等を進める必要があります。

自動化範囲
予算・納期の決定後は、自動化範囲を決定しましょう。小箱包装・箱詰め工程を全自動化する場合は、既存建屋では難しい場合もあり、現実的な範囲で進める必要があります。人手が多くかかっている工程を優先的に自動化し、投資対効果を最大化させることが重要です。

自動化対象製品
生産量によって小箱包装・箱詰め自動化の対象製品を定めます。自動化対象製品を定める場合、ABCのランク付けを行うことがベストです。「必須自動化製品:A」、「できれば自動化:B」、「自動化しない:C」というランク付けを行うことで、のちの予算・納期・自動化範囲の調整の基準になります。

メーカー選定
予算・納期・自動化範囲・自動化対象製品を定めた後に初めて、メーカー選定を進めていきます。メーカーは多様な提案をするため、これまでの4つのポイントを事前に決定しておくことで、自社の判断とメーカーとの折衝、そして委託するメーカーの決定が容易になります。
また、4つを決定しているということは、企業の決裁者もまじえた決定になることが多く、メーカー決定・導入までスムーズに進めることが可能です。

小箱包装・箱詰めライン 自動化の課題

食品工場で小箱包装・箱詰めラインを導入する場合の、現在多くみられる課題を以下に示します。

多品種少量生産
消費者の嗜好に合わせて、合致した製品を製造することでブランド力を高める中小食品製造業が多くなっている昨今、1ライン1品種生産ということは少なくなっています。いかに多品種少量生産で自動化ラインを導入できるかが課題になっており、スピーディな段取り替え等、多品種少量生産でも投資対効果が最大化する仕様にて装置導入を行うことが重要です。
多品種少量生産の場合、汎用装置の導入では課題が解決しないことも多く、消費者の嗜好に合わせた商品開発と同様に「自社の仕様に合致したカスタマイズ・特注機の導入」を検討することも重要となります。

自動化難易度の高い工程が残っている
日本ではかねてより人手不足が叫ばれており、単純な搬送や包装工程の自動化は完了しています。残るは、「自動化難易度の高い工程の自動化」です。自動化難易度が高い場合、各メーカーのもつ汎用設備では対応ができないことも多く、特定の課題を解決できる、特注機が必要になります。
また、特注ライン化で兼用ラインにすることでスペース生産性と稼働率を上げるなどがありますが、これらもメーカーのノウハウが必要な場合が多く、難易度が高くなります。
自社の課題によりそい、難易度の高い課題であっても提案・解決が可能なメーカーに相談するか、食品メーカーの皆様の目利きも重要な自動化のポイントになっています。

小箱包装・箱詰めラインの自動化は当社にお任せください!

日本自働精機は、カートナーやケーサーを用いた、小箱包装・箱詰めの自動化ラインの導入を通して、食品工場の生産性向上に寄与してきました。当社は、特注装置開発・カスタマイズノウハウを持ち、長年お持ちの皆様の課題を解決してきました。
そのため、小箱包装・箱詰めの自動化ラインにお困りのお客様はお気軽にお問い合わせください。

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